09世界選手権のジャッジについて その1
大分沈静化してきたかな、とも思いますが、
まだまだ、ジャッジへの「疑惑」が語られていますね。
プロトコル分析をするからには、
まずジャッジが「不正」かどうか、検証してみる必要があります。
これまで、特に問題視されているPCSについて、いくつか分析結果をアップしてきました。
そろそろ、悪児の見解をまとめていきたいと思います。
もちろん、基本的なスタンスは、「データに語らせる」ということで、
データをよく見ていただければ、よけいなコメントは必要ないのかも知れませんが・・・(^^)ゞ
(なお、悪児のフィギュアスケート選手への関心は、60%が真央ちゃんへ、30%が美姫ちゃんへ、そして残りの10%が他の選手に向けられていることをあらかじめ表明しておきます (^^)ゞ)
問題点その1
まず、多く方が感じていると思われるのは、PCSが「高すぎる」ということ。
それについては、先にアップした、グランプリシリーズとの比較(個人SP_PCS 個人FS_PCS 個人SP&FS_PCS 大会SP_PCS 大会FS_PCS)で明らかでしょう。
確かに、09世界選手権のPCSは、非常に高く出ています。グランプリシリーズ6戦どの大会よりも、明らかに高い。
ただ、確認しておきたいのは、グランプリシリーズ6戦の点数が大差なく、世界選手権だけが突出している、というのではないことです。グランプリシリーズの中でも、高く出たJPNと低かったCHNでは、非常に大きな差があったのです。
もうひとつ。やはり先にアップしたPCSのSSの滑走順得点推移グラフをご覧下さい(SP推移 FS推移)。SSの得点ですが、ところどころジャンプアップしているところもありますが、大体は少しずつ右上がりに伸びています。
ここまでは、データが語る「事実」
これからは、悪児の「解釈」です。
09世界選手権のPCSの高さですが、何らかの「意図」のもとに、「意識的」に行われたのでしょうか? 例えば、「TSSの技術点の差をPCSでひっくり返すため」とか「優劣の差を大きくするため」といったような意見が聞こえてきました(ここは論争をしようというのではなく、悪児の見解を示すだけなので、あえて出典は出しません)。
しかし、データは、何を語っているのでしょう?
まず、PCSは、「絶対評価」ではなく「相対評価」にしか見えない、ということです。
グランプリシリーズは、人数が少ないので、「絶対評価」がしやすいはずですが、それでも大会毎にPCSの出方には大きなばらつきがあります。さらに、同じ大会の同じ演技に対しても各ジャッジの出す得点には非常に大きなばらつきがあります。
スロー再生をして専門審判が判定して1つだけの判定を出すジャンプの「回転数」やスピンなどの「レベル」の場合、判定が1つだけ、というのが、正に「絶対評価」であるということを示しています。
それに対して、個々のの要素に対するGOEでさえ、複数の審判による複数の判定を平均化しているのですが、それが「絶対評価」の困難性を示しているのではないでしょうか。従って、それよりはるかに採点対象が大きく(演技全体)採点基準が曖昧なPCSにばらつきが出るのは当然のことで、審判の判定も「相対評価」に頼らざるを得ないだろうことは明らかでしょう。
そして世界選手権です。グランプリシリーズとは違って、多人数でしかも途轍もないレベル差の選手が演技をする世界選手権。「相対評価」で採点していけば、当然、点数が「絶対評価」の基準を超えて上がっていくことはあり得ることです。前の選手より良い演技と評価したら、当然点数を上げなくてはならないのですから。ということは、はじめの方の選手の演技に対しては、「低め」の得点が付けられる、のが「普通」でしょう。実際、全員の得点を調べたわけではありませんが、今回グランプリシリーズに2戦参加して世界選手権ではフリーに進めなかった選手のPCSはグランプリシリーズのときの得点よりずっと低くなっています(個人SP_PCS参照)。
それを意識的にやって、「優劣の差を大きくする」という意図が働いていた可能性はありますが、ただ単純に、「相対評価」の結果、そうなってしまった、という可能性も、大きいのではないか、と悪児は思います。
やはり、フィギュアの「得点」は、何よりも「大会毎の順位」を付けるためのもので、他大会との比較に使う時には、点数は大会毎に高めに出たり低めに出たりする、ということを留意しなくてはならないということでしょう。
要するに、悪児の結論は、PCSは高くなったけど、それは、そうしようとした、というより、そう「なっちゃった」のだろう、ということです。
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