09世界選手権のジャッジについて その9
しかし、それにもかかわらず、まだ1つだけ、問題が残る。ヨナの点である。
もう1つ、問題が残るのは、ヨナの点である。FSのTES 63.19に対し、PCS 68.4。要素数分の補正をしても、TES 66.19に対しPCS 68.4。差はずいぶん縮まるが、まだPCSの方が2.21も高い。
だが、その前に2つほど。
1つは、SPのTES 43.4とPCS 32.72。これは問題ないだろう。何度も書いている通り、ヨナの高得点をもたらしたのは、何よりもSPのTESであり、SPのPCSは、決して異常に高くはない。
もう1つは、試合の流れである。ヨナの点に「age」があったと主張する方も少し冷静に考えて欲しい。真央が滑って、ジョアニー、美姫が滑って、3人の点は出ており、ヨナが滑る前から、事実上、もうヨナの優勝は決まっていたのである。ジョアニーを抜くのに必要な点は、たったの115.18。仮に残るカロリーナが130を出したとしても、117.07で上回れるのである。しかも、PCSをつける時点では、ヨナの演技は終了していて、中ミスが2つ(1つは判明していたかどうか不明)あったものの、普通につけても120越えは全く明らかだったのである。そんな状況でリスクを冒してまでわざわざ[age]なんて、するだろうか。どう考えたってそんなことするはずがない。これだけでも[age]論の非論理性は明らかだろう。
しかし、PCS 68.4という数字自体も、もう1つ、あることを思い出すと、十分納得のいく数字になるのである。
もう1つのこと、それは、ヨナのTESが、演技の「質」ではなく、「規則違反」によっても減点されていると言うことだ。サルコー失敗のあとのフライングからのコンビネーションだったはずのスピンがフライングにならなかったために、最後のコンビネーションがダブって、「無かった」ことにされてしまったのだが、そのスピン自体はレベル4と判定されている通り、決して失敗したものではない。フライングにならなかった理由が、サルコーの失敗による動揺のためかどうか、そのあたりは不明だが、いずれにせよ演技&スケートの滑りとは無関係なところで減点されているのであり、従って、TESとPCSの点を較べるというのであれば、本来の演技の質を示す減点前のTESと較べられるべきものなのである。だとすると、レベル4のCCoSp、基礎点は3.5だから、最低として3.5を加えると、TESは69.69となり、PCS68.4を上回るのである。それを反映したグラフで見ると、
ヨナのPCS68.4も十分納得のいく数字であることがよく分かるだろう。(続く)
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