トリプルアクセルの価値 その3(フィギュアスケートプロトコル分析)
女子FSの場合、ジャンプは7つ、そのうち1つはアクセルジャンプ、コンビネーションは3つまで、3連続は1つだけ、3回転以上のジャンプは同じ種類は2回まで、それも2回跳べるのは2種類だけ、という規定がある。従って、ジャンプは最大限11、3回転は、3Aを除くと最大限7つとなる。
従って、3Aや3-3を跳ばず、またジャンプシークエンスを入れない場合の基礎点の最大値は、3Lz2つ、3F2つ、3Lo、3S、2A、2T4つの41.2となる(セカンド以下の2Tを2Loに替えると少し上昇するが煩雑になるので以下、セカンド以下の2回転ジャンプは2Tとして計算する)。
3Lz 6.0
3Lz 6.0
3F 5.5
3F 5.5
3Lo 5.0
3S 4.5
2A 3.5
----
2T 1.3
2T 1.3
2T 1.3
2T 1.3
41.2
以下、これをFSの標準点として考察することにする。
ただし、女子の場合、3A以外の5つのジャンプを問題なく跳べる選手はほとんどいない。真央ちゃんはルッツとサルコウが苦手でバンクーバーでは跳ばなかったし、ヨナちゃんはループを入れていない。5種類すべて跳ぶ選手でも、ルッツ2回にフリップ2回、という選手は確認していないがおそらくいないだろう。
では、3-3を跳ぶと基礎点は何点上がるか。セカンドの2Tを3Tにして、+2.7となる。
3Lz 6.0
3Lz 6.0
3F 5.5
3F 5.5
3Lo 5.0
3S 4.5
2A 3.5
----
2T 1.3 → 3T 4.0 (+2.7)
2T 1.3
2T 1.3
2T 1.3
43.9
従って、43.9となる。これはセカンドを3Tではなく3Loにした場合も変わらない。ファーストの3Loは3Tに替えなくてはならないからだ。つまり、3-3を1回だけ入れる場合、セカンドはどちらでも全体では同じ基礎点になるのだ(言い換えれば3Tをそれよりずっと難しい3Loに替えるメリットは全くない)。
3-3を2回(2A+3Tも含む)にすると、セカンドがどちらも3Tの場合、3Fは1回しか跳べなくなるので、
3Lz 6.0
3Lz 6.0
3F 5.5
3F 5.5 → 2A 3.5 (-2.0)
3Lo 5.0
3S 4.5
2A 3.5
----
2T 1.3 → 3T 4.0 (+2.7)
2T 1.3 → 3T 4.0 (+2.7)
2T 1.3
2T 1.3
44.6
2Tを3Tにする(+2.7)代わりに3Fを2Aにすることになるので(-2.0)、差し引き+0.7の44.6にしかならない。ところが、3Loをセカンドで跳べると、
3Lz 6.0
3Lz 6.0
3F 5.5
3F 5.5
3Lo 5.0 → 2A 3.5 (-1.5)
3S 4.5
2A 3.5
----
2T 1.3 → 3T 4.0 (+2.7)
2T 1.3 → 3Lo 5.0 (+3.7)
2T 1.3
2T 1.3
46.1
3Fを2回跳べるので、3T2回より+1.5の46.1になる。標準と較べると+4.9だ。
つまり、セカンドに3回転を跳ぶ場合、1回だと、3T、3Lo関係なしに+2.7の43.9だが、2回だと、どちらも3Tなら、+3.4の44.6止まりに対し、3Tと3Loなら、+4.9の46.1になる(美姫ちゃんのセカンド3Loのメリットはここにある)。
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