第16回 ヨナvs真央(金メダルの行方_2)
ヨナと真央の金メダル争い、数字的には全く互角の2人、最終的に勝敗を分けるのは、ミスの行方だろう。
そこで、2人のジャンプの大きなミスを分析してみた。
DG、予定の回転数に満たない、認定されてもGOEがマイナス、以上をミスとして×、他を○で表示すると
真央
FR JP GF FC
SP- 1 × × × × 3F+3Lo
SP- 2 × ○ ○ × 3Lz
SP- 5 ○ ○ ○ ○ 2A
FS- 1 × ○ ○ × 3A+2T
FS- 2 × × ○ ○ 3A
FS- 3 ○ ○ ○ ○ 3F+2Lo+2Lo
FS- 6 × ○ ○ ○ 3S
FS- 7 × × × × 3F+3Lo
FS- 8 ○ ○ ○ × 3T
FS- 9 ○ ○ ○ ○ 2A
○ 24 × 16
ヨナ
US CH GF FC
SP- 1 ○ × ○ ○ 3F+3T
SP- 2 ○ × × ○ 3Lz
SP- 4 × ○ ○ ○ 2A
FS- 1 ○ ○ ○ ○ 3F+3T
FS- 2 × ○ ○ × 2A/3Lo
FS- 3 ○ ○ ○ × 3Lz+2T+2Lo
FS- 5 ○ ○ ○ ○ 2A+3T
FS- 6 ○ × × ○ 3Lz+2T
FS- 8 ○ ○ × ○ 3S
FS-11 ○ ○ ○ ○ 2A
○ 30 × 10
×の数ではヨナの方がずっと少ない。しかし、表をよく見ると、2人の×の出方には大きな違いがある。真央の場合は、縦にも横にも、特定のところに×が集中しているのに対し、ヨナの場合は、非常にランダムなのである。つまり、真央の場合、×は、横方向では、2つの3F-3Lo、縦方向ではFR・FCに集中しているのだ。この2行2列を消すと真央の×は、NHK杯で微妙な回転不足を取られた3A-2Tだけになる。対して、ヨナの場合、そのような偏りはなく、「まんべんなく」×がちりばめられている。
どういうことか。
真央の場合、×は、「ミス」ではなく、するべくしてした「失敗」のケースが多いのだ。3F-3Loは、フリーでは一度もDGにすらなっていないように、今シーズンはまだ「跳べない(跳べるところまで完成されていない)」ジャンプだったのであり、3Aももちろん「必ず成功するはず」のジャンプではない。一方EB杯の3SやFCの3Tなどは、跳べるはずなのに失敗してしまった「ミス」ではあるが、EB杯やFCは、非常に調子が悪かった、というはっきりとした理由があるのだ。
それに対して、ヨナの場合、3Loと3Lzは、「必ず成功するはず」とはいえないかも知れないが、スケアメの2Aや中国杯の3F+3T、GFの3Sは、「必ず成功するはず」のジャンプをミスったものであり、ショートではほぼ完璧な演技を見せて絶好調と思われたFCでも、それまで失敗していない3連続をミスっているのである。
つまり、点数的には高得点を連ねて「安定」しているかに思えたヨナだが、実は一つ一つの演技を見ていくと、むしろ不安定なのに対し、ミスが多いと思われていた真央は、調子の波こそあれ、演技自体はむしろ安定しているのである。
理由は、はっきりしているだろう。「気持ち」である。勝ちたい、という気持ちは当然あるもののそれ以上に一つ一つの自分の演技を「決める」ことに集中できている真央(3Aをミスって、勝ちを諦めながらも残りの演技に集中できた08WCの真央の凄さ!)と、「勝ち」にこだわりすぎている(こだわらずにいられない)と思われるヨナ(戦略面からも言動からもそれが見えるだろう)。
今までの対戦成績も、3勝3敗と5分ではあるが、五輪を除けば最高の舞台であるWCでは真央の2連勝。ヨナが勝ったのは格下のFCとGPFで、GPFでも地元開催の08GPFでは、ミスを連発して負けている。
今回、真央が3F-3Loを変更してくるかどうか注目していたが、変更はないらしい。ということは、今度こそ成功させる自信とそのための練習を積んできたはずだ。
とすれば・・・真央の優位は動かない。
真央vsヨナ 金メダルの可能性は、
真央70%、ヨナ20%(カロリーナ7%、ジョアニー2%、美姫1%)
表彰台は、
真央99%、ヨナ90%、ジョアニー60%、カロリーナ40%、美姫10%、章枝1%
とみる。
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