フィギュアスケート ジャンプの得点(モスクワ世界選手権女子採点について)
フィギュアスケートシングルの花、ジャンプ。
ジャンプが成功すれば高い得点がもらえ、失敗すれば減点される、そう思っている方、多いかもしれないですね。
そしてジャンプの成功の一番大きな用件は「着地すること」そう思っている方も多そうです。
そこで、ちょっとジャンプの採点(得点)について考えてみます。
ある選手がトリプルルッツを跳んだとしましょう。次のケースの得点の順番はどうなると思いますか?
1.3回転回りきってクリーンに着地
2.3回転回りきってステップアウト(GOE-2相当)
3.3回転回りきって転倒
4.3回転、回転不足でクリーンに着地
5.3回転、回転不足でステップアウト(GOE-2相当)
6.3回転、回転不足で転倒
7.3回転、ダウングレードでクリーンに着地
8.3回転、ダウングレードでステップアウト(GOE-2相当)
9.3回転、ダウングレードで転倒
10.2回転になってクリーンに着地
11.2回転になってステップアウト(GOE-2相当)
12.2回転になって転倒
13.1回転になってクリーンに着地
14.1回転になってステップアウト(GOE-2相当)
15.1回転になって転倒
16.ジャンプ動作だけでジャンプにならない
まあ、7.など、あり得ないケースもありますが、すべてGOEプラス要素はなかったとして得点を計算すると、
1.6.00 (基礎点6.00)
2.4.60(基礎点6.00 GOE-1.40)
3.2.90(基礎点6.00 GOE-2.10 減点 -1.00)
4.3.50(基礎点 4.20 GOE-0.70)
5.2.80(基礎点 4.20 GOE-1.40)
6.1.10(基礎点4.20 GOE-2.10 減点 -1.00)
7.1.80(基礎点 2.10 GOE -0.30)
8.1.50(基礎点 2.10 GOE -0.60)
9.0.20(基礎点 2.10 GOE -0.90 減点 -1.00)
10.2.10 (基礎点2.10)
11.1.50(基礎点 2.10 GOE -0.60)
12.0.20(基礎点 2.10 GOE -0.90 減点 -1.00)
13.0.60 (基礎点0.60)
14.0.40 (基礎点0.60 GOE -0.20)
15.-0.70 (基礎点0.60 GOE -0.30 減点 -1.00)
16.0.00
回転不足やダウングレードなどさらにGOEがマイナスされるケースもありそうですが、だいたいこんな点数になると思います(間違いがあったらご指摘ください)。
ルッツの場合は1回転で転倒しない限り(一流選手ではまずあり得ない)得点がマイナスになることはありません。転倒してもなにがしかの点はつくんですね。
そして、転倒しても、3回転回りきっていれば、回転不足でクリーンに降りた場合をのぞけば、回転数が足りないジャンプよりも高い得点がもらえます。つまり、ジャンプで一番重要なのは、着地したかどうかよりも、回転が足りていたかどうか、ということです。よくある、ジャンプが「抜けて」1回転になった、悪児もそうでしたが、素人目には転倒でもなくたいした失敗に映らないケースが実は得点的には最悪になるんですね。
というわけで、今回の場合、ヨナちゃんの3Lzは2.(減点-1.4 約1/4減点)にあたり(コンビネーションにならなかった分は次の3Fでリカバリ)、真央ちゃんの3Aは8.(減点-4.5 約3/4減点)、3Fは4.(減点-2.5 約1/2弱減点)にあたります。 ヨナちゃんのミスが、ミスとしてはかなり軽いものだったのに対し、真央ちゃんのミスは、3Fは中程度、そして3Aは非常に重い(回りきっての転倒よりはるかに重い)ミスになります。同じミス1回対2回ではないのです。
もう一度繰り返しますが、ジャンプの成否はまず回りきったか否かが重要で、着地したかどうかはその次です。またミスにも同じミスとはいっても軽いものから重いものまでいろいろあります。その辺をしっかりと見極められるようになると、フィギュアスケートがさらにおもしろくなると思います。
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