世界フィギュアスケート選手権中止(延期?)の意味
ISU(国際スケート連盟)は3/21から東京で開催される予定だった世界フィギュアスケート選手権の中止を決定した。そのステートメントの冒頭は、
「Taking into account the continued critical developments in Japan,」
「日本において継続している危機の進行を考慮して、」
となっている。
「継続中の危機の進行」
もちろん、原発のことだ。
それが参加者、観客、関係者の安全を脅かしているので中止せざるを得ないという結論になっている。
それ(世界フィギュア中止決定)以前に諸外国では日本への渡航を回避するよう勧告しているし、在日米軍も支援のため派遣した空母を原発から離れた位置まで後退させている。福島原発がチェルノブイリのような大惨事を引き起こす可能性をゼロとは見ていないのだ。
(言い換えれば、福島原発問題が解決すれば世界フィギュアの延期開催も見えてくるだろう)
ところが、日本のスケ連の発表では、他の点(余震や電力不足による会場維持の困難性)に埋没させて(「また福島第一原子力発電所の状況が思わしくなく」とのみ指摘して)明示していない。政府の意向を受けたものかどうかはわからないが、福島原発の危険性を軽視しようとしていることは確かだ。
もちろん、今、東電をはじめとして関係者は全力を挙げて大惨事を回避すべく努力しているはずだ。破局に至る可能性はきわめて低いと信じたい。また、日本への渡航を避ければよい諸外国と違って日本人は簡単には逃げ出せないのだから必要以上に危機感をあおり立てたくないという政府の意向も理解できる。しかし、大惨事の可能性ゼロではないだろう。とすれば、その可能性が本当に現時点でどれくらいなのか、今後どういう状況になればどの程度可能性が増大し、また減少するのか、詳細に説明するべきだろう。そして、どの時点でどういう対策をとるのかもはっきりと表明するべきだろう。さらに、現在行っている作業とその結果、その成否、その理由、これらももっと国民みんなに分かるように説明するべきだ。
計画停電でもミスを重ねているように、東電は非常に危機的な立場にある。ただ、東電も地震の被害者なのだ。そのことは忘れてはならない。一方的に東電を非難しても何も始まらない。
政府は速やかに東電、および大口電力消費者との協議で「計画停電」をせずにすむよう、各事業者の事業計画を調整するべきだ。自動車会社は軒並み操業停止しているし、他にも一時停止に応じる事業は非常に多いだろう。東電の最後の切り札というべき計画停電だが、鉄道や交通信号が止まるというような計画停電はとても容認できない。東電に最後の切り札を切らせてしまう政府の無能無策を露呈するだけだ。
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