トリプルアクセルの価値 その1(フィギュアスケートプロトコル分析)
女子の場合、SPのジャンプは、
1.ステップからの3回転。
2.3-2,または3-3のコンビネーションジャンプ。
3.ダブルアクセル
と決められている。従って、3-3および3Aのない選手の場合、最大の基礎点を得るジャンプ構成は、
3Lz 6.0
3F 5.5
2A 3.5
2T 1.3 (2Lo 1.5)
で16.5となる。ただし、コンビネーションのセカンドに2Loを跳ぶ選手はまれで、ほとんどは2Tを選択するので、その場合16.3になり、それを女子SPの標準点とする。
バンクーバー入賞者では、ジョアニーと未来ちゃんがこれにあたる。明子ちゃんは3Lz を3Loに替えているので標準より-1.0の15.3だ。
では、3-3を入れると何点増えるのか。3-3を入れているのは、バンクーバー入賞者の半数の4名。ただし、おなじ3-3と呼ばれても、3T+3Tのラウラと、3Fもしくは3Lzからの他の3人とは大きな差がある。3T+3Tの場合、
3Lz 6.0
3F 5.5 → 3T 4.0 (-1.5)
2A 3.5
2T 1.3 → 3T 4.0 (+2.7)
セカンドは2T→3Tで+2.7になるが、ファーストを3Lzもしくは3Fと替えることになるので、-2.0もしくは-1.5となり、差し引き+0.7もしくは+1.2にしかならない。さらにラウラの場合、ステップからの3回転も3Loにしているので、全体として標準より+0.2の16.5に過ぎない。
レイチェルとヨナちゃんはコンビネーションの組み合わせは違うが、3Lz、3F、2A、3Tは同じで、
3Lz 6.0
3F 5.5
2A 3.5
2T 1.3 → 3T 4.0 (+2.7)
この場合、2T→3T の+2.7がそっくり標準点に加算されて19.0になる。セカンドで3Loを跳ぶ美姫ちゃんの場合は、
3Lz 6.0
3F 5.5
2A 3.5
2T 1.3 → 3Lo 5.0 (+3.7)
さらに+1.0で、標準点より+3.7の20.0になる。そして実は昨季の真央ちゃんのSPのジャンプ構成は組み合わせは違うものの美姫ちゃんと同じだった。3Aを取り入れたのは、昨季の最終戦の国別対抗戦だ。
3Aを入れた結果真央ちゃんのSPの基礎点はどうなったか。
3Lz 6.0 → 3A 8.2 (+2.2)
3F 5.5
2A 3.5
2T 1.3
3A、3F、2A、2Tで、アップは3Lz→3A分の+2.2、18.5と、昨季の自身の基礎点より-1.5、ヨナちゃんと較べても-0.5と大きく減ってしまったのだ。3Fを3Lzに替えても、+2.7でレイチェル・ヨナちゃんと同じになるだけだ。
つまり、現在のSPの規定では、3Aを跳ぶのは、3-2を高難度ジャンプからの3-3にするのと同等またはそれ以下のメリットしか得られない。ハイリスクハイリターンどころか、ハイリスクノーリターンに近い有様だ。
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