第3ステージは、ほとんどアップダウンのないありふれたコースで、
本来なら、ゴールスプリント以外あまり面白味のないステージなのだが、
今回は、第1ステージの展開から、もう1つ、興味深い点があった。
第1ステージでは、3つめの山岳ポイントを頑張って1位通過したオジェが、
当然、これで、マイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュを獲得した、
と思ったであろうが、なんと、遅れて集団に飲み込まれたミラーが
集団の先頭で2位通過してオジェと同ポイントで並んだため、
通算タイムで上回るミラーに、マイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュを
奪われてしまったのである。
第2ステージは山岳ポイントがなく、かくして、
第3ステージでは、ゴール30km手前に1つだけある第4級山岳ポイントに
マイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュの行方がかかり、
当然、オジェは、このポイントを取りに来ることが予想されたのだ。
でも、どうやって・・・
レースは、序盤から、2人のフランス人が集団から飛び出す展開になった。
オジェとミラーは、集団に残ったまま。この日は、236kmという長丁場で、
レースもゆっくりとしたペースで、淡々と進む。
動いたのは、やっぱり、オジェだった。山岳ポイントの手前30km付近で、
ウィリムスと共に集団から抜け出して、前の2人を追う。
集団も、ミラーも、動かない。先頭の2人も、オジェたちを待つ構え。
追いついたオジェはペースを緩めず、そのまま、山岳ポイントを獲得し
マイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュを確実なものにした後も、
4人で必死に逃げる。集団も、本気で追いかけるが、なかなか差が詰まらない。
まさか逃げ切ることはない、とだれもが思っていたのが、
逃げ切りの可能性が出てきたのだ。
そうなると、今度は、ステージ優勝だけではなく、
マイヨ・ジョーヌの行方が問題になる。逃げる4人のうち、
ヴォゴンディはこの日既にボーナスタイムを16秒獲得しているので、
現在トップのカンチェッラーラと38秒差。オジェ以外の2人も、
50秒余りの差。トップでゴールすると、20秒のボーナスタイムが貰えるので、
20-40秒ほどの差をつけて1位ゴールすれば、
マイヨ・ジョーヌを獲得できるのだ。
レースは俄然白熱化してきた。ゴール間近。逃げる4人と猛烈に追ってくる集団。
画面がゴールからの望遠になって、距離感がよく分からない。先頭の4人。
しきりに後ろを見ている。牽制しているのか。ゴールがどこかも分からない。
逃げ切れるのか、捕まるのか。気づいたら、黄色いジャージが先頭にいる。
え、マイヨ・ジョーヌ? と思ったら、今度は左から緑のジャージが飛んでくる。
中からもどんどん選手が飛んでくる。と思ったところで、マイヨ・ジョーヌが
両手をあげた。ゴール。辛うじて逃げ切ったのだ。
マイヨ・ジョーヌを着ているカンチェッラーラが、
自分でマイヨ・ジョーヌを守り、ステージ優勝までしてしまったのだ。
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